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子供の健康のために一言

名誉院長
小児科 佐藤 登
Noboru Sato

 少子高齢化が社会問題として取り上げられるようになってから、特に、子供を取り巻く環境は激しく変化している。子供の診療に携わる者として少し述べてみたいと思う。
 さて、およそ七年前になるが、我が家に一匹の猫が出入りするようになった。最初、子供が餌を与えていたが、そのうちに居心地が良かったのか住み着いてしまった。猫を室内に入れていたわけではないが、一室を強引に占領し、今ではその部屋は猫部屋と化してしまった。私は特に動物好きではないが、止む無く時々餌を与えなければならない仕儀となってしまった。勿論、その部屋以外には猫を入れないようにしているが、猫部屋はやはりいくら掃除しても、住んでいる以上、猫の毛が散乱することになる。
 最近、日本ではライフスタイルの変化によって、ペットブームが起きている。犬、猫、鳥等の伝統的なものから、果ては、ヘビ、ワニ等の爬虫類までもペットにする人もいるようである。確かにペットは心を癒し、人間関係を円滑にして、病んだ心を治すという、すばらしい一面を持っている。場合によっては薬を凌ぐ効果を発揮する。アニマルセラピーとして、アメリカ等では自閉症やその他の精神科領域の患者の治療に効果を上げていることが紹介されている。また、子供においては、ペットの飼育を通して、生命の大切さや、他者に対するやさしさ、思いやる心を身につけることができる。子供の発達に与える影響は計り知れないものがあろう。
 しかし、反面、気をつけなければならない点もある。人畜共通感染症と、気管支喘息のアレルギー疾患に対する影響である。砂場が犬や猫のトイレ代わりになり、知らずに遊んだ子供に寄生虫卵が入り感染することになる。また、犬、猫、ハムスター等の毛、フケ、排泄物等が気管支喘息等のアレルギー疾患の誘因になることは良く経験することである。従って、このことは、子供の健康を守るためにも、大人が考えなくてはいけないことである。
 次に、食習慣の変化に気をつけることも肝要である。生活習慣病は、運動不足や食習慣の偏りによることが多いが、子供においても将来の疾患の基礎を形成するという点で注意をしなければならない。ファミコン、テレビゲーム等が遊びの主流となり、戸外での遊びの機会が少なくなった今日、子供の肥満は以前より問題となっている。
 また、遊びと共に食習慣の変化も問題になる。最近は都市部は勿論の事、郡部においてもコンビニエンスストアが至る所にある。コンビニに立ち寄ってみると、親子連れの客が結構多いことに気づく。コンビニを介して親子関係の調整に役立っているのかも知れない。買い物を通して、店におけるマナーを教えることもできるであろうし、親にとっても家事の省力化に役立っているのかも知れない。しかし、親として安易に考えてはならない。子供達は清涼飲料水や菓子類をほしがることも多いであろうし、自宅での夕食がファストフード化されるのではないかとも危惧される。野菜の摂取不足、過剰なエネルギー摂取など栄養面での問題が指摘されている。親子のコミニュケーションを厚くする場と考えることもできる反面、極端にいえば、ペットボトル症候群、肥満、糖尿病予備軍に子供が仲間入りする入り口に立っていると考えることもできる。良くも、悪しくも判断するのは、私達大人であることを自覚しておきたい。